のぞみのデュアルライフ(2拠点暮らしと養生方法)

不仲な親の介護と実家のゴミ屋敷化に悩む皆さんへ 

ケアラーズカフェ

自宅に戻った私はいくら寝ても疲れが取れず、でも普段の生活が送れることがとても嬉しかったのでした。あの怒涛の一週間はなんだったのだろう?実家でのペースの読めない母の行動や大声で矯正しようとする父の対応を思い出すたびに、今後の成り行きが思いやられて嫌な気持ちになるのでした。そんなある日朝刊を開いたら「ケアラーズカフェ」の特集が組まれていました。阿佐ヶ谷の拠点病院の向かいの、介護者がほっと一息つけるカフェだということです。そしてその週発売の雑誌にも特集が組まれていました。「行ってみたい!」新聞記事を切り抜いて時刻表を調べすぐ電車に乗りました。今の私の状況を話せる場が近くにはなかったし、お世話になっていた地元の社会福祉士のMさんは夫の仕事の都合で岐阜に転居してなかなか連絡できなくなっていました。地元の友達も介護で忙しく、頻繁にメールするのも遠慮がちになっていました。千葉では「認知症の家族の会」から委託された交流会が年に一度、包括支援事業の一環としてあって参加したことがありましたが、いつも話せる友人のような存在ができるわけもなく会合に出席してそれきりでした。

 

初めて阿佐ヶ谷で降りて、こじゃれた雑貨屋さんが並ぶ細い路地づたいに歩いていくと小さな可愛らしいピンク色の看板が出ていました。「あ、ここだ!」すぐ見つけられて嬉しくなりました。店内は10坪あるかどうかの広さで、キッチン担当の女性とフロア係らしき女性と傾聴ボランティアらしき年配女性3人で運営しているようでした。私の他にお客さんは2~3人で介護関係ではない地元の一般の方のようでした。雑誌で特集されていたキッチン担当の方にランチセットを注文し「写真と同じお顔ですね」などと話しかけ、持ってきた朝刊の切り抜きを差し出しました。「あ、見てくれたんですね!」と会話が広がっていきました。彼女も現役ケアラーで、私の母と同い年の実母を在宅介護していることなど教えてくれました。

 

私はこの怒涛の一週間の出来事をやや興奮気味に話すと、傾聴の年配女性は穏やかに寄り添ってくれました。回答が出るわけではないけど、同じ体験をして共感・共鳴してくれる場があるのとないのとでは心の持ちようがまるで違います。安定剤で徘徊がおさまる方向へ持っていこうとしていることや漢方薬の選択ミスなど話していると、そこへこのカフェを運営するNPO法人の代表女性が来店しました。思いつきで来てみて良かった!と思いました。やはり朝刊の切り抜きを見せてお話して名刺を頂戴しました。介護に関する電話相談やさまざまなワークショップや「娘カフェ」という介護している娘さんだけのお茶会などもやっているとのことでした。店内には来店客が自由に書けるノートが置いてあり、介護者の心の支えになっている様子がわかりました。そして首都圏の介護者の会の一覧などもありましたが、殆どが都内に集中していてその当時千葉にはなかったようでした。「遠いけど、やっぱりここまで来ないとダメかなぁ」なんて少し残念に思いました。