のぞみのデュアルライフ(2拠点暮らしと養生方法)

不仲な親の介護と実家のゴミ屋敷化に悩む皆さんへ 

介護のインタビュー受ける

2014年より県立宮城大学看護学部の学生さんが、認知症患者の在宅介護の実態をインタビューしに来てくれています。看護の現場実習で患者さんと接することはあっても、その患者さんが自宅でどのように過ごしているのか、どんな家族に囲まれどのようなおうちで暮らしているかまではわかりませんから、とてもいいことだと思います。ただ協力してくれる家庭がどれだけあるかはわかりませんが。うちの場合は包括支援センターの職員さんと仲良くしていたり、父がわりとはっきり受け答えができるので大学側の要請に応えられると踏んで、保健福祉課から推薦されたようです。

 

最初の年は四年生の女子学生さんが一人ICレコーダー片手にやってきました。バス停からウチまで歩いてきたものの、田舎の家は区画が広いのでどこから入ったらいいかわからず、携帯から質問してきました。私が玄関外まで出迎えて招き入れました。

 

秋田の高校を卒業し看護専門学校で学んだあとに入学したそうです。「同級生はもう現場で活躍してるので焦りもあります」とのことでしたが、人生長いのだしたくさんの患者さんや家族と接して素敵なナースになってほしいものです。

 

翌年は指導教官と学生さん二人でしたが、私が不在だったので父一人で応対してくれました。父は若い人にもわかるよう時系列で母の症状を説明し自分でできていること、周囲の人々やプロのスタッフさん、そしてなにより「」の協力で認知症の母の在宅介護が成り立っているという趣旨のお話をしたそうです。どこまで伝わったかわかりませんが(笑)後日指導教官あてにメールで訪問のお礼をしました。

 

そして今年は学生さん二人だけでやってきました。私が在宅していたので介護保険でレンタルしている玄関とベッド脇の手摺り、「安心コール」という緊急連絡システムの機械、ちょうど水曜日で配食サービスのお弁当の受け取りなど紹介しながらすべて体験してもらいました。おそらくどれも初めて見たのだと思います。おしゃべりダッキーf:id:nozosan-net:20160922151731j:plainという犬型介護ロボットは実際触ってみて「かわいい」と喜んでいました。

 

いつものように時系列で病状説明し、目を離した隙に徘徊や転倒があるので常に「見守り」が必要なこと、話しているタイミングで貸し衣裳屋さんの伯母が手作り惣菜を届けてくれたので、「こうやって周りに助けられている」ことをじかに見てもらいました。一人の認知症の人に介護スタッフさん、リハビリさん、給食調理員さん、主治医、歯科医、近所の人、配食ボランティアさんなどなど多くの人々の手を借りてようやく成り立っている在宅介護なのだとわかってもらえたと思います。

 

私はちょうど母の衣替えで帰省していたので、人様に見せられるレベルまで断捨離したウォークインクローゼットや介護保険でリフォームした全自動トイレなども見てもらいました。少し前までの魔窟状態を知らない学生さん達に「わぁきれいにされてますね~」といわれ、「いやいやこうなるまで地獄だったのよ」といいかけてやめました。

 

近くにある両親の掛かりつけ薬局の薬剤師ご夫妻も、営業時間中でしたが業務見学に協力してくれて、患者さんから処方箋を受け取り調剤室で分包機で錠剤をまとめ、一つ一つの袋に患者さんの氏名と薬の名称、「朝食後」など飲むタイミングまですべて印刷する機械のデモまで見せていただきました。関係者しか入れない調剤室に初めて入り、私も学生さんも処方薬が手元に届くまでのプロセスがわかってとても勉強になりました。

 

たまたま公的なところからお声がけをいただき、これから医療専門職になろうという学生さん達の訪問を受け入れていますが、更なる高齢化に伴い認知症でかつ他の疾患のある患者さんも増えていくことが予想されます。医療現場で暴言・暴力など、対応に苦慮する患者さんの背景まで理解できるスタッフさんがいてくださると、私達家族も安心してお任せできますし、食い違いや行き違いなども少なくできるかもしれません。

 

私は認知症の啓発に少しでも役立てればと思い、介護家族の交流会や介護カフェなどで自分の実体験や困ったケースごとにどう対応してきたかお話させていただいております。

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