だいたい70過ぎると毎年友人が減っていきます。
ついこないだ会ったばかりなのに。先週電話で話したばかりなのに。ということが増えていきます。
数年前、たまたま実家で父の友人の電話を取ったので取り次ぎました。入院中で病院からかけてくれたそうです。
話したいことが山ほどあったようで、次々とお話が止まりません。父は庭仕事の途中で受話器と反対の手に道具を持っていました。
20分ほどお付き合いしたところで、聞いている父も疲れてきたようで「まだ療養中なんだから今日のところはこのぐらいで…」と会話を切ってしまいました。
二週間も経たずにその方が亡くなったと連絡が来ました。
最後にどうしても話しておきたかったのでしょうね。人とのお別れというのは案外そんなふうに突然やってきたりするものです。
あの時最後になるかもしれないと、公衆電話からかけてきたお友達の気持ちを思うと寂しくなります。
しかし年齢を重ねると、このような予期せぬお別れがたびたびあるようです。
この人と会うのは今日が最後かもしれないと思っていると、時間や約束を守らないなど起こらないかもしれません。だって次のチャンスはもうないのですから。