実家近くに、幼少時いつも一緒に遊んでいた姉弟がいます。
5年ほど前に弟さんが突然死したと連絡がきて父が地元の葬儀に参列しました。
彼は首都圏のIT関連企業に勤務し、単身暮らしの室内で倒れていて発見されたとのことでした。(心疾患らしい)
父曰くすっかり太っていて昔の面影はなかったそうです。
単身では食事をはじめとした生活習慣を気にかけてくれる人がいません。自分で自分を律するのは案外面倒です。
私は翌月帰省したときに、ちょっとした菓子折りを父に託して千葉に戻りました。
お盆明けにお焼香に行ったはずの父に電話すると、何回コールしても出ません。
嫌な予感は当たるもので、しつこくかけ続けるとようやく不機嫌な声で出ました。
聞けば夜のうちにゴミをまとめようと玄関先で躓き、転倒して肩を強打し3時間気絶していたということでした。
「その間、ママはどうしていたの?」
認知症の人は自分のおかれた状況がわかりませんから、倒れた父を助けるでもなく、どこかに通報するでもなく(電話のかけ方もわかりません)台所でウロウロしていたようです。
まだ母が転倒しやすくなる前だったので、2人とも別々に倒れていて気づかれない事態にはなりませんでした。
意識が戻った父は自力で起きてなんとかその夜は母を寝かしつけましたが、転倒のさい手がつけなかったため顔じゅう傷だらけで右手親指の付け根も怪我していました。
そのときも休みを挟んでいて当番医は精神科しかやっていませんでした。
しかしラッキーなことに外科処置ができるドクターとナースがいて、父の右手を縫合してくれました。
いくつもの偶然で助かりましたが、高齢者のみ世帯にはこのようなリスクが山ほどあるのです。