今だからいえますが、いつ親の免許を返納するか悩みどころでした。
地方の田舎で車を手放すのは生活の足を失うことです。都会のように数分おきに電車がくるわけでもなし、手をあげればタクシーが止まることもありません。
しかし運転させることのリスクを私がどこまで負えるか難しいところでした。
母のときは車そのものに興味を失っていたので、車を処分することに抵抗されませんでした。乗らなくなったので免許もいつのまにか失効していました。
問題は父です。
アクセルとブレーキの踏み間違えから高速道路の逆走、登校途中の児童の列に突っ込んだなど、どう考えても老化だけでなく認知機能の衰えが原因であろう事故が日々報道されています。
父本人はとてもしっかりしいて、だからこそ在宅での老老介護が可能だったのです。
しかし父自身の言動・行動がおかしくなり、様々な検査を経て軽度認知症と診断された頃から、ちょっとした車庫入れに戸惑うようになりました。
緑内障で視野が少し欠けていて、その治療で通う眼科の駐車場も狭く、ひとりで通院させるのが不安だったのでわざわざ予約日に合わせて帰省していました。
毎月の受診に合わせた日程調整もいずれは難しくなる。なにしろ認知症で要介護5の母を在宅で看ているのですから、いつなんどきどちらの具合が悪くなるかわかりません。
朝夕通いのヘルパーさんと契約し少しずつ父の仕事を減らしていきましたが、母のオムツ購入や日々の食材、種苗や肥料などの嵩張る買い物に車は必要です。
以前、檀家寺院の僧侶に鍵を預ける方法はどうか?となにかで見ましたが、いざ自分ごととなると難しいものでした。
結局運転は慣れた場所の往復のみで、不慣れな場所は私の帰省時に行くというようなこれまでとあまり変わらない方向性でひとまず落ち着きました。
それでも敷地内で来客の車にぶつけたこともありました。
その時はすぐ保険会社・車屋さんに連絡しお相手に菓子折りを持って謝罪に行きました。
いつ免許返納するか正解はありませんが、人に怪我をさせてからでは遅いです。
自分が責任を取れる範囲と生活状況をよく考えうやむやにせず対応しましょう。
どんなに立派だった親でも老いるのですから。