認知症の家族がいると、家において出掛けられないといった話を聞くと思います。
身近にそういう人がいないとなぜ⁇と思われるので簡単に説明しておきますね。
まず来客や電話があっても対応できない、または対応しても覚えていられないのです。
インターホンや電話がなってとりあえず出てみても要件がわかったようなわからないような要は噛み合わないのです。
理解しているふうでも実際はよくわかっていません。
そして対応した事実そのものを忘れてしまいます。
帰宅後「〇〇さんが来た(電話があった)の?」と訊ねてもきちんとした反応は得られないと思ったほうがいいでしょう。
書留や宅配に印鑑を押せるかどうかも人によります。
室内をいじくってめちゃくちゃにしていることもあります。
家に置けないからと用事のたびに連れて出かけるのも困難です。
途中でトイレに行きたいと言いだしもし間に合わず失敗したらと思うとオムツの用意とか、見当識障害で待ち合わせ場所がわからなくなるなど考えるだけで面倒になります。
留守番もさせられず連れても出られない。
私はいっときそれを地獄のように感じていました。
なにもできない。
もうただそれだけ。
出かけた先で本屋さんに寄ってみたい、カフェでお茶を飲みたい、そんなささやさな願いも叶わない。
それまで当たり前と思っていた自由がなくなるストレス。
実体験のない人には理解されませんしね。
こういった些細な苛立ちの蓄積が虐待やネグネクトに繋がっていくのだと思います。