母の介護が始まるまで自分も家族も健康なことが当たり前で感謝するなどほぼありませんでした。
だから些細なことで不満を感じ思い通りにならならいことに苛立っていました。
しかし母が認知症を発症しこれまでできていたことが介助なしでできなくなったことで、いかに自分が傲慢だったか気づかされました。
ひとりでトイレに行けない、行けても間に合わない、ポータブルトイレやし瓶を用意してもうまくいかない、オムツ生活へ。
同じことを何度も聞かされ噛み合わない会話に辟易しきつい言葉を返してしまう。
食事介助もボロボロこぼしいつも床は食べこぼしでベトベト。
入浴介助は真冬でも汗だくで昔の深い浴槽で2人揃って溺れる寸前に。
普通に自分のことをやってくれるだけでどれだけありがたいか。
それまでソリの合わない母が疎ましく「この人さえいなければ」と何度となく思っていました。
しかし認知症をきっかけに私は考え方の間違いにようやく気づき、病に抗うことをやめただ現実を受け入れることにしました。
普通に過ごせるだけで有難いことなんだな。
たったそれだけのことがわかるまで無駄に長い年月を浪費していました。