相手を選ぶ話題
その人特有の困った状態を「親孝行できるのも今のうちよ」なんてわかったふうに諭すなど私にはできません。それはいちばんいわれて嫌だったから。喋ることでむしろ地雷を踏むような介護話は気をつかいそれなら黙っていたほうがいいと判断しがちです。けれどそれじゃ介護者のメンタルが折れてしまいます。
要介護者のケアについてはさまざまなな議論が持ち上がりますが介護者のケアは疎かすぎて対話の場をみつけられない人は病んでいきます。私はたまたま話せる場があって助かりましたが私の友人のように話せる相手のいない人が心身崩壊しないようにできないものかつねに考え発信しています。
この数ヶ月の流れを聞くと別々に入院していたご両親を同じ施設に入所させることができた。ようやくほっとできたら同室のお父様のいびきがうるさくて眠れないとお母様から毎日のように鬼電がはいり滅入っていると。大学生の娘さんにも授業中に着信があり無碍にもできず困っている。
お母様の要望はお父様をいびき外来へ連れて行ってほしいらしく「どれだけうるさいかいちどあなたが泊まりにきなさいよ‼︎」とのこと。泊まってうるさかったとしても睡眠時無呼吸症候群のCPAP(呼吸をサポートする機械)を装着するには検査入院しないといけない、そもそもペースメーカーを埋め込んでいる90歳のお父様にそれができるのか。悩ましいところです。
認知症ではないご両親だからきちんと意見は持っている、それゆえ要望がありご友人も亡くなりおはなし相手がいない。夫婦で同じ施設に入所して持ち家も処分せず支払いできている。曾孫までいてしあわせそうと世間には映るけれどなかみは案外そうでもないということかな。友人は週2でお菓子を持って面会に行くなど本当によくやっています。
3号廃止などで専業主婦が叩かれていますがこういう細かい配慮を働きながらできますかね。やったとしても心身の余白を失い歯車が狂っていくかもしれません。給与所得の発生するものだけを労働と捉えるのは介護や育児をしてこなかった恵まれた男性側の意見じゃないのかな。