のぞみのデュアルライフ(2拠点暮らしと養生方法)

不仲な親の介護と実家のゴミ屋敷化に悩む皆さんへ 

実家の片付け 和服編Ⅱ

f:id:nozosan-net:20161004121709j:plain伯母は和室の和箪笥の引き出しから、和紙に包まれた着物をどんどん出していきます。そういえばこれを着て一緒に出掛けたなぁなんて、ところどころで思い出してしまいます。一人の孤独な片付けがなかなか進まないのは、こうやってつい思い出に浸ってしまい処分の判断が甘くなるからかもしれません。しかし身内といえど母とは他人の伯母と一緒だと、価値のわからない私が迷って手を止めることもなくさくさくと捗ります。いくら大島だなんだと買った当時の値段を持ちだしても、持っているだけで充分楽しませてもらったのだし、伯母に引き取ってもらえれば和裁ができるからリメイクもできるし、着付けの練習に惜しげもなく使えます。双方にとってのシナジーです。

 

防虫剤も入っていなかったようですが、桐箪笥のおかげで虫食いもなく酷い汗じみも殆どなくわりと状態はよかったようです。着物には帯や帯留め、襦袢や半襟や足袋などの小物もあってたくさんいろいろ出てきました。伯母は私がいずれ本当に使うであろうものを何点かセレクトしてくれました。家紋の入った色留袖と上品な訪問着を7点ぐらいに、それぞれに合わせられる小物を組み合わせてくれました。衣文掛けに掛けて虫干しもしながらのスピード作業です。仕立てようとして反物のままの生地も何点も見つかりました。母はどんな気持ちで買ったんでしょうか。今はもうない呉服屋さんの納品伝票が挟まれたままでした。和装コートや旅行に着物持参する際のバッグなどもありました。和室の分はざっくり済んだので、北側四畳半の和箪笥も片付けてしまうことにしました。

 

父が引き出しごと続き間に運んでくれたので、そこで伯母と二人で中身を広げて精査することになりました。父が「いや~こんなにあって、てへへ」みたいに悪びれる様子もなく笑ったのでまた怒りがこみ上げてきました。「誰のせいでこんなことになってると思ってるんだ!」とうに価値などない布きれの処分のために新幹線で来てる身にもなれよ、といったところでしょうか。相手の行動に関心を示さず好き放題の買い物を許し、処分する能力の持ち合わせすらなく迷惑をかけてなんとも思わないのか。変な話こんな作業、日当もらってもやりたくないものです。溜め込んだゴミ処分をタダでやってもらおうなんて虫がよすぎます。

 

ここでも伯母がスピード断捨離です。こちらの箪笥も桐だったので防虫剤を切らしていましたが虫食いはありませんでした。反物のままのものや、仕立てたものの一度も袖を通した形跡すらないものが和紙で包まれていました。着物には好みと似あう似合わないと年齢があります。私はどれも好みではなかったし価値があっても自分の裁量で管理したり利活用する能力はありません。新品同様のものは伯母の手にかかれば着る人のサイズに仕立て直しもできるし、他に活躍の場があります。モノを活かすとはこういうことではないでしょうか。途中で数えるのも面倒になりましたが浴衣なども合わせて総数70枚ぐらいあったかもしれません。

 

私がいずれ着るだろう数枚とそれに合わせた小物を残して、衣装ケースやプラかごにどっさりの着物をトランクに積んだ伯母は、午前中だけで作業を終えて帰宅しました。素早い見事な仕事ぶりに驚き、10年以上停滞して澱んだ空間に新鮮な空気が一気に流れ込んできた秋晴れの一日でした。