在宅介護をしていた頃、母が様々なことが理解できなくなり不安からか10分おきにトイレに行こうとしたり、度重なる徘徊でヘトヘトになりました。
そのたびに病そのものを理解しようとしない父は怒鳴りなじり散々でした。
家庭崩壊
介護虐待
ネグレクト
そんなワードが頭の中をぐるぐるしだして、一刻も早くこの場から逃げたいという気持ちになりました。
自分や周囲のことがわからなくなれば誰でも不安ですから、失禁して責められる前に用を済ませておこうとか、ここは自分の居場所ではなさそうだから生まれ育った実家へ帰ろうと思うのは自然なことです。
今ならわかります。
しっかりしていた親が壊れていくのを冷静に受け止めるのはなかなか難しく、他人事なら偉そうに批判もできますが、いざ自分ごととなるとなかなかね。
そんなときユマニチュードケアを知り
①水平に正面から・近くから長く「見る」
②低いトーンで優しく歌うように・ポジティブな言葉を途切れなく「話す」
③広い面積でゆっくり包み込むように「触れる」
④1日20分は立つ時間を作る「立つ」
を実践してみました。できないときも自分を責めません。
病の進行もあり母は暴言・暴力はなく徘徊と失禁に手こずりましたが、その時期に相応しいケアを受け入れるようになりました。
晩年の父は「介護させていただいている」とまでいうようになり、高齢になってようやく他人が思い通りになどならないと理解できたようです。
穏やかな気持ちがどんどん枯れていく介護生活ですが、少しだけ相手の不安や恐怖を想像してみましょう。