日本人が失った習慣
20年ほど前にある落語家さんがお弟子さんにお茶を淹れるようにいうと「どうすればよいかわからない」といわれ驚いたとはなしていました。その当時すでに急須でお茶を淹れるなどということをやめてしまった家庭が多く、飲みたければペットボトルで買ってくるか麦茶パックを冷蔵庫で冷やすぐらいになっていたのでしょう。茶葉から淹れるなんて面倒なうえゴミもでますからね。
うちも祖母は時代的に急須で淹れていましたが共働きで多忙な母はもうそんなことはしていませんでした。緑茶が好きではなかったのもありましたしね。来客用の茶器は山ほどあったけれどふだん使うことはいっさいなかったのです。だから私もお茶淹れができないまま社会人になり来客にお茶出しするとき困りました。

いまはみなさんマイボトルを持ち歩く時代で家でティーバッグを入れてでかけるようですね。やっぱり急須で淹れる人は少ないのでしょう。中国の茶畑へ行くとガラス瓶にジャスミン茶葉と水を入れてくれていくらでもおかわりできました。ティーバッグももちろん存在するけれど茶葉から淹れるのをいとわない暮らし方に好感を持てました。なんでも面倒、便利の方向にいくと同時に「できなくなること」もふえてここぞのときに困るんでしょうね。