のぞみのデュアルライフ(2拠点暮らしと養生方法)

不仲な親の介護と実家のゴミ屋敷化に悩む皆さんへ 

排泄介助から常時オムツへ

f:id:nozosan-net:20161005221401j:plain人にもよりますが、皆さん一日8回ぐらいトイレに行くでしょうか。だいたい3時間置きぐらいですよね?映画を観る時は始まる前と後に行きますしね。上映中になにか飲んだりすると、長い作品だと途中で退席したくなります。コンサートやライブ、お芝居なんかもそうでしょう。

 

自力でできるならいいのですが、認知症の人は尿意を催したことを上手く伝えられません。まだ初期の頃だと、いろいろなことがわからなくなっていく自分が不安で、しかも失禁=恥ずかしい、そんな失敗をして咎められたらもう居場所がない、立ち直れない、ぐらいに思ってしまって心配のあまり30分もしないうちに「トイレに行きたい」と言い出します。

 

毎回付き添うこちらも大変です。トイレではない場所でされると後始末が大変ですし、それが日になんども繰り返されたらヘトヘトになって、介護殺人に繋がりかねません。家族もこんな話は誰にもいえずに追いつめられていきます。

 

認知症の症状の一つと知ってはいましたが別の病気かもと思い、父と一緒に母を泌尿器科へ連れて行ったこともありました。採尿をして内診もしましたが、膀胱炎とかそのような病気はいっさいないとの診断でした。

 

じゃあ毎回尿意を訴えるたびに介助するか、3時間ごとに誘導するよりないのね・・・ここで介護家族は絶望的になります。毎回連れていっても空振りもけっこうあります。それに外出先で父は女性トイレには入れませんから、多機能トイレのあるショッピングセンターやすぐ帰宅できる近場しか連れていけません。

 

トイレ問題で外出が億劫になり、どこにも行けなくなっていきます。外の世界に触れさせたいと頭では思っていても現実は難しいのでした。冬場はズボン下、パンツ、肌着2枚ぐらい着てますから、それを下ろして用を足し元通りに直すのはけっこう手間です。当たり前が自力でできなくなり、こうやって人に助けてもらわないと排泄もできないわけです。

 

夜は介護者もゆっくり眠りたいのでオムツにしました。念のためシーツの下に防水シートを敷きました。初めはオムツのゴワゴワする感触や慣れない感じに抵抗していたので、簡易おまるとかポータブル便器とかいろいろ買ってきては試してみましたが、どれも上手くいきませんでした。「オムツは介護者の手抜き」なんて言葉を本気にしていた時期でもありました。なんとか排泄だけは自力でさせたかったのです。

 

でも朝デイサービスでのお迎えが来た時に玄関で失禁して、毎回後始末と着替えで送迎車の中で待ってる他の利用者さんを待たせるなんてできません。給食時間にみんなと食べてるときにしてしまったりもありました。何度もそんなことがあると、もう自力排泄は難しくなります。当時のケアマネさんや直接担当してくれている介護スタッフさんとも協議のうえ、昼間もオムツ生活になりました。

 

介護者の怠慢ではありません。認知症が緩やかに進行し介護の等級もあがり自然な流れなのです。母がオムツ生活になったからといって別に悲しくはありませんでした。尿意を伝えられず失禁することもないし、30分おきに不安からか「トイレにいきたい」ということもありません。オムツなりに気持ち悪ければなんらかの意思表示もあるので、交換のタイミングもわかります。なにより日頃同居している父がかなり楽になります。

 

治らない病、認知症でもなるべく進行を遅らせて良い状態で長く過ごしてほしいという願いはありますが、初めてのショートステイ頃から段階的に進んでいることを受け入れつつ、いかに双方気分よく過ごせるかが近ごろの課題です。